翻訳チェックの受注案件には、代表的なものでエディット(Editing)、レビュー(Reviewing)、プルーフリード(Proofreading)などがありますが、実際それぞれどこが違うのでしょうか。
とても曖昧です。でも言葉が違うということは、若干でもニュアンスが異なるってことだと思いますので、やっぱり違うんですねー。
私が感じるところでは、Proofreading ⇒ Reviewing ⇒ Editingの順で修正の程度が大きくなりレートも上がります。
紋切り型の、「プルーフリードはターゲット言語だけをみてチェック」、「レヴューは両言語を突き合わせる(クロスチェックというらしいです)」という定義を良くネット上などでみかけますが、どっこいそうそうすんなりとはいかないんですよね。
なにしろ、何言ってるんだかわからない訳文をみて変だな、と思ったら原文見なきゃ始まらないじゃないですか。推理を働かせてる場合じゃないです。私の場合ターゲットだけを見て誤訳をきちんと修正するのはほぼ不可能です。特に白黒がはっきりしたテクニカルなものだとこの傾向は強くなります。
それでも「プルーフリードしてください」と頼まれている以上はそれに沿って仕事しなきゃいけない・・・。ってそんなことできん!となりますわね。^^で、時間もかかる。出来る限りプルーフリードに近い仕事をするためには、あがってきた訳文のクオリティが高いことにつきます。
翻訳エージェントとの攻防
プル―フリードで何をチェックするのかをはっきりと指定してくるエージェントと、プルーフリードとして発注しているのに、内容は両言語を照らし合わせてのレビューを要求してくるエージェントがあります。
後者のような場合、これを私はエージェントとの攻防戦と勝手に呼んでいますが( ^ω^)・・・。こういうところからの案件は、訳文のクオリティが低い場合が多いので、気をつけなければいけません。
可能な限りレートを下げて(プルーフリーディングとして依頼し)、可能な限り高いクオリティの訳文を納品させたいエージェントと、できるだけ与えられた時間内に仕事を収めたいチェッカーの間の手に汗握るやり取りですね。
プルーフリードの仕事は、基本的には誤字・脱字、文法や句読点のチェックなどを訳されたものだけを見て行うものですから、翻訳のクオリティにまで踏み込まなくてもいいわけなんです。
まっとうなエージェントは、何をチェックするのかをきちんと指定してきます。余計なことをして時間を取られたらバジェットに合わなくなりますから、かえって迷惑なのです。
だから逆にプルーフリードを頼まれて、訳文を自分の好みに合わせて大きく変えるのはやりすぎ、ルール違反です。あくまでも訳した人の訳文なのです。極言すれば、なんかぎこちなくて自然じゃなくても、間違っていなければ、それでいいともいえるでしょう。そしてその責めはプルーフリーダーではなくトランスレーターが負えばいいんです。
好き勝手にまっかっかに修正したものをフィードバックされた訳者の方も、もう勘弁してくれ状態になりますね。漢字をカタカナ語に変える、ちょっと気分で言い換える、「へ」を「に」にする、「は」を「が」にする・・・
チェッカーが百人いれば百通りに直します。99%思いますが、翻訳者(プルーフリーダー)が人の訳したものを気に入るはずないです・・・。
でもそこをググッと抑えて、「プルーフリード」をするんです。お金をもらうんだからできるだけ直そうとなんてしなくていいんです。誤字・脱字、Consistency、文法や句読点、スペースのエラー、これらを必要最小限直してさっさと納品です。
これに比べて、レビューやエディットの場合は、かなり踏み込んだできる限りの高品質が求められます。レビュアーを信頼しているので存分に直してください。というスタンスです。これはもう思ったようにやればいいです。
ちなみに、私が長年信頼しているエージェントは、訳者のランクに従ってレビュアーの単価が決まります。ものすごく透明です。ランクの高い訳者のレビューの単価は安く、ランクの低い訳者のレビューの単価は高いのです。これ以上ないというほどフェアだと思います。